リングダクトスピーカー

前回の

リングダクトの特徴を考えてみる

で、CHR70を取り付けたリングダクト構造では、共振周波数が低くなりすぎているかも…と考えてみました。
そこで、ちょいと押入れから過去作品を取り出してみて比較してみることに。

 

 

上が木板積層の初期モデルです(下がCHR70搭載のモデル)

 

→ 木板 積層リングダクトスピーカー(製作記)

 

比べるとこんなにサイズが違ったんですねぇ。
幅(高さ)は大きいですが、奥行きはCHR70搭載モデルより短いです(30cmに対して23cmほど)

このときは、自由錐の刃の向きを入替えて電動ドリルを逆回転して切り抜く、という作業をして自由錐設計20cmまでの開口寸法のところ22.8cm程まで拡大して連続カット…
おかげでかなり無理をさせて連続稼動させた電動ドリルからは煙が出たという思い出がよぎりますが…

 

 

このときは集成材24mm厚のサブロク板から18枚にカット、片側9枚を割り当てて積層接着させました。
材料ありきの設計でありましたが、まずまずの音が出ていたのです。

なので、どういった傾向であったかを比較のために測定してみることに。

 

 

これまた概算シミュレートになりますが、共振周波数は79Hzぐらい。
共振周波数が57Hz程度となっていたCHR70モデルと比較すると、空気室容量も少なく、ダクト長も短いので、当然ながら共振周波数が高めに出てます。
単純ダクト構造ではないため特性を考慮できないところがあるとしても、この全体傾向としては音に現れるでしょう。

ということで、前回同様に簡易的に測定してみますと…

 

 

このような傾向に。
ユニットが違いますので(本作品搭載ユニットはDAYTON AUDIOのRS-100S)、単純に比較はできませんけどもおおよそ筐体の特性傾向は見えているように思います。

ちなみに前回掲載しましたCHR70モデルの特性がこちら。

 

 

80hzぐらいまではRS-100Sモデルの方が量感がありますが、それより下になると落ちていくカーブ具合が違いますね。

RS-100Sモデル、なんとなくシミュレートした共振周波数近くにピークがありそうな気配…

試聴比較すると、低音域の解像感の違いに現れるようでCHR70モデルの方がやはり下まで伸びているように感じます。

あと、MDF板と集成材の違いもありそうです。
ダクト壁面はいずれも塗装加工等してませんからMDFの方の表面が柔らかいですのですが、それがややすっきりとさせる方向で作用している可能性を感じます。

 

ということで、リングダクトの直径を22.8cmとして、以前製作モデルよりもう少し奥行きをとったモデルを次回製作することにしましょう。

対策としてはボール盤で自由錐の上限を超えて拡大切り抜きをするためには…から検討することになります^^
(所有のボール盤は逆回転してくれないので)
たぶんメーカー非推奨、良い子はマネしてはダメよ、という方法になりそうですけども(汗;)

 

(※写真をクリックすると大きく表示されます)

 

バスレフ型スピーカーは、スピーカーユニットを取り付けた箱に穴があるタイプ。

バスレフ型スピーカー

スピーカーの裏側の振動を利用して低域を増強する仕組みで、現在の主流です。
穴=ダクトは、ほとんどが丸いパイプか、角型をしています。
このダクトの太さや長さはいろいろありますね。

さて、口からそのまま息を出すのは気にもなりませんが、ストローを咥えて同じ量の域を吐き出すには時間がかかります。
さらには、同じストローの太さでも、短いのと長いのでも違ってきます。

管摩擦抵抗というもので、スピーカーのダクトも同様に抵抗が発生しています。
この抵抗具合と箱内空気のバネ効果をうまく利用して共振域をコントロールしようとするのがバスレフ型スピーカー。

 

 

そして、以前「リングダクトとは」の説明ページに鈴木様より見識あるコメントを頂いてますが、ダクトへ壁面部とダクト中央部では抵抗が異なります。
ダクト壁面部の摩擦抵抗を少しでも低減しようと、ダクト面にディンプル加工を施すスピーカーもあるとのこと。

管摩擦抵抗はダクト壁面部に近いほど抵抗力が大きく作用し中央部に行くほど作用が小さくなるイメージです(単純ではない部分もありますけど)。
それの合算されたものがそのダクトの抵抗になります。

となれば、バスレフの共振を計算する際は概ね断面積と長さから導きますが、ダクト断面積に対するダクト壁面の割合の影響も出てきますよね。

 

 

極端な例にしてますが、このように太いダクトなら摩擦抵抗の影響は全体からすれば軽微に思えます。

逆に細くなれば…

 

 

摩擦抵抗の影響が大きく出てきそうです…です。

リングダクトスピーカーに至っては、スリット状のダクトがぐるりと輪状(ドーナツみたいに)になっています。

 

 

良くある丸パイプのダクトを考えれば、リングダクトの内側ダクト壁面は存在しません。
これだけでおおよそ2倍のダクト壁面の面積があるといえますから、リングダクトはダクト断面積に対するダクト壁面の割合はぐんと高いですよね。
通常の丸パイプや角型のダクトに比べると摩擦抵抗は大きい…これは間違いないでしょう。

ちなみに、CHR70を装着した木板積層リングダクト…

 

 

この場合の計算シミュレートでは、

 

 

共振周波数が57Hz程度となっています。
底面(背面)のホーン状の作用とか、上記のダクト壁面の割合などは未考慮ですので、概算の概算という感じですけども…

で、実際に簡易的に測定してみますと、

 

 

と100Hzぐらいから降下する特性。

音響対策のない室内で、回りもけっこう音がしている中での測定ですから目安程度ですよ。

さらにそれぞれ特定周波数を再生させて、その周波数ごとに測定してみると…

100Hz → 87.2dB
80Hz → 81.0dB
63Hz → 74.7dB
50Hz → 71.1dB
40Hz → 60.5dB
31.5Hz → 51.2dB
25Hz → 40dB

という感じ。
概ね上のグラフと似たような傾向は出てますね、実効周波数としてみれば低域はやや厳しい感じに見えますか…

ただ、なだらかながらも低域はけっこう下まで出てますので、実際に聞いてみるとなかなかどうしての聴き応え、この辺りはグラフからは見えない特徴でしょうか。
加えて、スピード感のある低域の出方は、リングダクトの特徴とも言えると思います。

これからみると、この場合のリングダクトの共振周波数は…もう少し下にあるのかな?という気はしますね、どうでしょう…

さて、もう少しスリット幅を調整してみましょうか、多少広げてみても面白そうです(CHR70版)。

 

(※写真をクリックすると大きく表示されます)

 

先日、音楽之友社発行の2010年7月号Stereo誌付録のスピーカーユニットの組立てを行いました。
その様子はこちらから

Stereo誌 2010年7月号付録 Fostex製6.5cmスピーカーユニット組立

その2010年7月号では、付録のFOSTEX製の6.5cmスピーカーユニットを使った自作スピーカーのコンテスト開催と募集要項が掲載されていました。
条件は厳しくなく、

・付録のスピーカーユニットのみを使用
・高さ100cm以内
・幅、奥行 50cm以内
・重さ 40kg以内

というもので、6.5cmユニットという点から考えれば事実上制約がないに等しいです。
とはいえ、スピーカーユニットの個数の制限はありませんから、片側に5個や10個といったスピーカーユニットを使ってもOKということであります^^
ま、そういう複数ユニット使用タイプもWELCOMEですよ~という余裕のある制限事項です。

ネット上でいろいろ拝見してますと、5冊買ったという方も見受けられまして、凄いスピーカーが作られそうな予感がありました(笑)

そんな状況下、私はリングダクトで応募しようと決めておりましたので、使用するユニットは片チャンネル1個、小型なものに仕上がりそうです。

では、その簡単な作成イメージです。
スピーカー名は「リングダクト-ST65(RD-ST65)」としました。

内筒をVU75ソケットの2段+キャップ上下としまして円筒状の空気室、その周りを囲む外筒をVU100のパイプとキャップで構成します。
この組み合わせでは、リングダクト部の幅が6mm程出来てしまいますので調整を要します。
過去のリングダクトでは、底部(背面部)の外筒、内筒のキャップをボルトで貫通させ、ナット等のスペーサーを挟んで固定しておりましたが、今回はリングダクト部にスペーサーを挟む方法を選択し、ボルトは一切使っておりません。

スピーカーユニットもボルトを使わずに固定しています。
かといって背面部を引張って固定しているわけでもなく、単純にサイズがちょうど良かったので塩ビパイプで押さえつけて固定しようという次第です^^

パイプを直接押し込んでの固定は出来ましたが、キャップの後ろから入れるVU75パイプの切断面が手でカットしていることもあり、スピーカーユニット背面(フレーム部)を均等に押さえつけるのが難しいのでゴムマットを挟んでおくことにしました。

2mm厚のゴムマットを円カッターでサイズに合わせて切ります。このとき下敷きのカッターマットにゴムマットを両面シールで固定しておくと綺麗に切れます。固定しておかないと、ゴムが伸びたりする影響でうまく円に切れないことがあります。

カットしたゴムマットをスピーカーフレームの後ろ側にセットしたところです。
これを前面のVU75キャップの後ろ側にセット…

そして、キャップとソケットを取り付けるために挿入するVU75パイプで押さえつけます。
VU75パイプ内部は、パンチカーペットを貼っています。
そして、がっちりと押し込めばスピーカーユニットの固定完了、まず動きません。

次に外筒用キャップの背面用です。
中央に5mmほどの穴を開けてスピーカー線を通し、ホットボンドで穴を塞いでいます。
ここに綺麗なスピーカー端子を取り付けるとカッコイイのでしょうけど、リングダクトの構造上この辺りはシンプルにしておきたい、と思いましてこのスタイルです。

この作業で先日怪我をしましたが(汗)、表面の外筒にもキャップを被せます。
ご覧のようにキャップ部分を大きくカットしますので固定方法をうまく考える必要があります(作業時は相当注意を要します)

このキャップ部分があるのとないのでは見た目が向上することがありますが、外周部のVU100パイプを締め付けるため内筒部とのスペーサーの密着性が高まり、ビビリ(振動)を抑える効果も多少発揮するものと思います。

これは内筒です。
リングダクト部の幅調整のために3mm厚のゴムマットを巻いてみました。
左右にパイプ部が見えるのは、キャップとの接続用のVU75パイプです。よって、貼っているのはソケット2段部分のみとなります。

ただ…この後、仮組立てして音を出しましたが、もう少し中域音を調整したいという感じでした。そこでこのゴムマットの上に起毛しているシート(シール付)を貼り付け、さらに外筒のパイプの内側にも起毛シートを貼るといった対処を加えたところ、今度はリングダクト部の幅が1mm程度に狭まり、バスレフとしての機能が停止してなんとも細い音になってしまいました。これはいけません…

そこで、ゴムマットを取り外し幅2mmのカーペット材に切り替えました。
こちらの方が単価も安いし^^

その上に起毛したシートを貼ります。ホームセンターで10cm単位でカット売りしているもの。
けっこう重宝してますよ^^
ただ、今回はこれだけではまだ足りない感じですので、外筒パイプの内側にも起毛シートを貼りました。直接パイプ内側に貼り付けるのは難しいので、薄いアクリルシートに起毛シートを貼った上で、アクリルシートをパイプ内部に両面テープで固定する方法を取っています。

今回もやりました、エアキャップでの吸音。
自分の自作モノでは頻繁に使っているエアキャップです^^。一般的な粒の小さいエアキャップと聴き比べてみましたが、今回はこの大粒のエアキャップの方が効果が良かったです。
その都度使い分けって感じですかね~^^

内筒が出来上がると、次は内筒と外筒との組立てへ。
(写真は撮影タイミングの違いで、外筒内への起毛シートのセットがされてません。)

では組立ての様子。

これは底面です。
ボルトでの固定の代わりに、ご覧のようにスペーサーを4箇所に入れています。
これはゲルボールペンのSTYLE FITというシリーズがあるのですが、その換芯(ゲルインクボールペン リフィル)のケースです。
それをパイプカッターで長さを合わせてカットしています。
幸いにもギュッと押し込むぐらいのギチギチ感があり、4箇所挟み込めばしっかりと固定されます。

今回使用するVU75キャップには、端の部分に段差がありますので、その段差にスペーサーが引っ掛かけることで一定のところで固定される仕組みです。

適切な位置に押し込んだ状態です。
ご覧のように外筒を差し込むキャップ面に当たり(パイプと同じ)、スペーサーがキャップの高さより長い分、内筒部が浮き上がるような動きになります。
この浮き上がった空間が、底面のダクト部を構成します。

ユニット面です。
こちらもSTYLE FITの換芯ケースのキャップを使いました(ちょっとカラフルですね^^)

組みあがった姿です。

見た目重視で、ユニット面の内筒、外筒のキャップ面の段差はあまり設けてません。せいぜい2mmぐらいの差でしょうか。
ダクトをなるべくユニットから離す、というセオリー(?)がありますが…まぁ、リングダクトではあまり考えてないですね(笑)

さて今回も胴巻きすることにしました(だんだんこのスタイルが固定化してきたかな・笑)
今回もカーペット材を巻くのですが、シックな色合いをチョイス。どうですかね、この色^^
両面テープをしつつ、でもそれだけではカーペット材の戻ろうとする力に勝てませんから、瞬間接着剤で接着するという合わせ技でいきます。

ということで完成の姿^^

台座もホームセンターで購入したもので組み合わせました。

先のダクト部の幅調整も行いましたので、かなり音もクリアに出てきました。低域は重低音は無理ながら、80hzぐらいからはそこそこの量感が出ているようです。
しかしながら、まだ若干中域の音に気になるところが…
そうですね、僅かなんですが残響のような音が耳障りに感じます。ま、ソースによるのですけど…

いろいろ思案した結果、底面部に対策を施すことに。

先の起毛シートを底面にも貼ることにしました。でもそのまま貼るのはけっこう難しいので、薄いアクリルシート(クリアフォルダのような)に貼り付けて円カッターで切り抜き、それを両面テープで底面キャップの内側に貼る、という方法にしました。

結果、気になっていた音の除去に成功したようです(満足)

小型ながら、まずまずの音になったと自己満足^^

ですが、スピーカー端子を設けておりませんから、コンテストに送ったときに接続に困られるかもしれません。
たぶん、アンプからケーブルが伸びてきてスピーカー端子に接続されていくはず。そこに、端子がなくてケーブルだけベロンと出ている姿はあまりウケも良くなさそうです。

ということで、外付けのスピーカー端子を作ることにしました。

まず、購入したのはVU45キャップ。
最初はVU45キャップを向かい合わせの円柱状にして、それにスピーカー端子を付けるかなぁと思ったのですが、予想以上に大きくなって断念。
そこで、VU45キャップ1個で構成することにしました。
キャップですから開放している側をうまく塞ぐ必要があります。幸い、ゴムマット(3mm厚)は内筒から取り外したものが余っていますからそれを利用しようと思い立ちまして、キャップ外周部に合わせてカット、内周部に合わせてカットとして、2枚組み合わせで蓋のようなものを作ることに。

分かり難いかもしれませんが、右下の円形上のゴムは2枚張り合わせになってます。
これをVU45キャップにはめこむと…

こんな感じです。
けっこう気に入りましたよ、このスタイル。

ちょっぴり困ったのが、筒状にカーブしたところにスピーカー端子を取り付けますので、端子部の表側が滑りやすくなかなかがっちりと固定するのが難いところ(ゴムブッシング等の検討要かも)
でも、なかなかいいですねぇ(また自己満足)

こうしてStereo誌自作コンテスト応募用スピーカーが完成です。

この後、休日や夜間の制約があってなかなかエージングができませんでしたが、鳴らせるだけ鳴らせて期日に間に合うように2010年09月08日に発送したのでありました…

 

そして2010年09月26日、審査発表が音楽之友社の音楽の友社ホール(神楽坂)で行われております。
諸事情で出席できなかったのでありますが…

詳細は改めてご報告しますが、出席された方よりなんと私の出品作品が3位との速報を頂きました(嬉)

ひゃ~っ、ほんとびっくりしました。この趣味を持って良かったなぁとしみじみ(自作スピーカーのご縁の方々に御礼)
少しでも塩ビ管スピーカーの認知度が増していけば嬉しい限りです。

 

(追伸)
Stereo誌 自作スピーカーコンテスト2010 第3位を受賞!

 

2010年09月27日作成
2010年10月03日更新
2011年12月11日一部更新

 

以前、透明なスケルトンデザインのリングダクトスピーカーはかっこいいだろうと、総アクリルで製作するとして、材料代とアクリルパイプカット、アクリル板の円形カット等をの材料加工代を見積もりました。

アクリルですから切断面の仕上げにもこだわりたい…なんて考えてましたら、特徴的なリング状ダクトを形成するためにアクリルパイプを2重化する構造も大きく影響して、想像を超える製作金額となってしまいました。

まぁ、部分的に木板を使う(バッフル面、背面)とデザイン上のアクセントになって材料代も抑えられて良いのでは、と自作スピーカー先輩からアドバイスも頂きました。
しかし、頭の中にオール・スケルトンの姿が先行してしまい今一歩決定に及ばず、いずれチャレンジすることとしてアクリルタイプは一旦計画お蔵入り^^

代わりに計画したのが、木板積層によるリングダクトスピーカーです。

リングダクトスピーカーは、輪状(リング状)のダクトとなっているので、木板でそれを実現しようとすると、板を円形にくり抜いてそれを積層する方法が考えられます。
または、板を細くカットして棒状にして、長編を円形になるように接着する方法もありますが、工具類が整わないと難しいでしょうし、数十角形にすることはできても円形にするのは難しい…ですね(不可能ではないでしょうけど)。

ということで、前者の板を円形にくり抜いてそれを積層する方法、でいくことにします。

さて、まずは材料。

以前製作しました2号機では、MDFを利用しました。
MDF(中質繊維板)とは「ミディアム・デンシティ・ファイバーボード」の略で、木材等の植物繊維を取り出し合成樹脂接着剤を加えて成型熱圧した板です。
つまりは、木材等をほぐして粉々にしてそれを接着成形した板ですので、メリットとしては1枚天然材に比べると均一性に優れる、利用されない端材なども原材料にできる点で価格的なメリット、などがあります。
MDFは大手ホームセンターが独自に仕様を決定して発注しているケースがあり、いろいろなお店を見て回ると好みのMDFに会えるかもしれません。

そのMDFで今回もいくか…
考えましたが、やめました。MDFは反りやヒビなどを気にすることがない点でも優れていますが、一般的なMDFは、化粧合板のように表面は見栄えの良い材質が薄く貼られています。今回のように積層を考えた場合には、切断面がほとんどになりますからその点がどうかな…と。

こちらの集成材、MDF同様に人的加工された板でありますが、こちらは木材らしさが残ってますね。小さくカットされた木材を接着して板に仕上げてあります。メリットは1枚天然材に比べると強度も高く、反りなどの変形も出にくいことでしょうか。
価格はMDFよりやや高めですね。

ですが、積層することを考えればそもそも積層されたような集成材は相性がよさそうです。さらに積層により接着面が増えて強度が増しそうな予感も^^

ということで今回は集成材でいきます。
久留米市内のホームセンターで25mm厚の集成材を見つけ、価格も他店よりサブロク板(1800×900)で2,000円ほど安かったので決めました(ただし一般的クレジットが使えないお店…)
集成材にもいろいろありますが、今回のこれは「メルクシーパイン集成材」でしょうかね(?)。

さて、ホームセンターのパネルーソーを利用しない手はありません。このお店では購入木材により一定回数まで無料で、それを超えたら1カット30円だったかな?
自宅で鋸でジコジコやる大変さを考えたら…安いもんです!

で、そのカットサイズをいろいろ考えましたが、この板から18枚の正方形を切り出そうと考え、刃の幅を考慮しつつ余裕をみて1辺29cmとしてパネルソーを動かしてもらいました。

これでまずは主材料を確保です。

 

2009年11月11日作成

 

ホームセンターでカットしてもらった板を、いよいよ円形にくり抜く作業です。

方法は頭の中にイメージできていました。
ボール盤と、2号機製作時に使った木工用自由錐を所有していたので、さほど難なく穴は開けられるだろう…

そんな安易な考えで、ボール盤等を置いている実家へ…
で、しばらく使ってなかったので押入れの奥から引っ張りだされたボール盤ですが、ううむ久し振りに見たら意外に小さいねぇ。
というのも、以前使っていた時はルアーの自作のためだったので工作対象が小さかったので対比的に大きいイメージで記憶に残っていたんでしょうかねぇ。
記憶なんて曖昧です(笑)

一抹の不安を覚えつつ、木工用の自由錐を取り付けようとしたら、

あちゃ~っ やっぱり…ね

ボール盤が使えないことが判明。
理由は、ボール盤の支柱とドリルチャックとの懐が10cm程度のところに、片腕14cm程(直径で28cm程)ある自由錐ですから、支柱に当たって回転できないのです(涙)

懐が15cm以上の中・大型ボール盤が必要ですねぇ。
ということで、すぐにボール盤の購入はできませんから電気ドリル(実家所有機)で決行することに。

ところが更なる問題点が…

私の頭では、この自由錐ももう少し大きな穴が開けられると思ってましたが、目盛りでは最大200mm。
直径20cmの穴までです。
板の直径を29cmとしたので、その板に直径20cmの穴ではかなり余らせてしまうことになります。これはもったいない…
なんだか設計時に考えておけよ、という内容で恐縮です(汗)

もっと大きい自由錐もあるかもしれませんが、そうそう売れるものではないでしょうからホームセンターでも見たことありません。
すぐに手に入らないとなれば、あるこの自由錐でなんとか考えなくてはなりません。

で、メーカーさんからは規格外の利用方法と怒られそうでありますが、

となっているところを、スライドする刃の取り付け部分を一旦抜いて差し替え、向きを変えることで…

とすれば、20cm直径が最大のところを約24cm直径まで広げることができます。
刃は両刃で同一回転方向を削る形状ですから、このように内外を取り替えると回転方向を変える必要があります。つまりは図のように本来は時計回り回転で使うところを、逆回転させることになります。
※さらに、刃そのものを取り外して裏表取り付け直すと、時計回転で開口作業ができるかもしれませんがお勧めはできません。

電気ドリルは、回転方向を変えるセレクターがありますからこれについては問題ありません。
問題は、センター穴となる部分のドリル刃。
これは時計回りで掘り進む形状ですから、逆回転ではまったく穴が開きません。同じ径のドリルで事前に穴を開けてから、自由錐を使うという2段階作業となります。

まぁ、なんとか方針決定。
いざセンターの穴開けを済ませて、自由錐での開口作業に移ります。
もともとはボール盤でと思っていた作業、自由錐の規格外開口作業となり想定ミスが連発ですがやるしかありません(^^)

自由錐の刃の回転直径が長いために、かなりのトルクを必要とします(経が小さいと楽なんですが)。
ちょっと力を入れて押すと止まりますから、負荷をかけすぎないように、回転数をあまり落とさないようにと慎重に作業を進めます。
2/3位進んだら、反対側から同様に自由錐をあてます。センター穴は貫通してますから大きく開口位置がずれることはありません。

そんな調子で作業を進めると、3枚も開けたところでドリルがえらく熱くなりました。モーターが悲鳴を上げてます。
これ以上連続使用しては煙が出そうですから、ここで一旦クールダウン時間をとります。
でも冷えるまではけっこう時間を要するんですよねぇ…
こんなことなら、自分の電気ドリルも持参して交互に使えるようにしておくべきだった、と思いますが取りに帰るのも片道50分の無駄。

午後からの作業ではありましたが、この日はなんとか8枚を開口するのが精一杯。

片側分の8枚の開口が済んだら、背面用1枚を加えて9枚を接着します。

使ったのはタイトボンド(www.titebond.com)。

アメリカ製のボンドで、ホームセンターで木工用ボンドと売られているのに比べると速く乾き接着力も強力、手放せない存在ですね。 2号機製作時に購入していたものを使いましたがかなりの消費量…
これを機に追加購入も検討しなければなりませんね~^^

 

2009年11月15日作成

 

外側筐体となる部分から、内筒となる部分を切り抜いた次は、その切り抜いた円板をさらに自由錐で円形にカットしてリング状にします。
この内部の内部空間が筒となって空気室となります。

リングダクトスピーカーの形状はこちらをご参照ください)

リング状となる木板の幅は15mm程度、とても手に持って自由錐を回すのは危険ですので、板を土台にビス止め固定して作業します。

ここでは自由錐は正常位置に刃を付け替えて時計方向回転での作業です。
(ちなみに日を改めての作業により、持参したマキタと実家のBOSCHの2台体制でオーバーヒートを予防し効率を上げてます)

そして切り出したリング状の板もまた、積層します。
手持ちドリルでのカットで、それぞれに多少バラツキが出てます。ここはやはりボール盤による精度アップが求められますね。でも、中型、大型のボール盤は簡単に動かせるような重量ではないので、どこか据え置きできる場所の確保がまず重要となりますねぇ…

自由錐による開口作業をしている私の隣では、外側筐体も個々の板に同様にバラツキが出ていたことから、親父に電気カンナで調整を依頼^^
内部の円筒のつながり部分をうまく合わせていくと、外部がガタガタになったりして…整える必要が出ておりました。電気カンナがあって良かった^^
途中途中、削る箇所を確認しつつ、さしがねで正方形が出ているかを見つつ削っていきます。

大抵は板の表面を削って綺麗にするもので、電気カンナであまりこういう形状を削ることはないと思います。親父も最初は苦戦して角を飛ばしてしまったりしてましたが、それも途中からはコツをつかんでなかなかの仕上がりに。
(さすがに日曜大工でいろいろ作るだけありますね、助かります)

狙いの形にだいたい収まったところで、次は電気サンダ(仕上用)の出番。
この工具もまたあまり家庭にはないだろう…と思いますが、今回のスピーカー製作に大活躍でありますねぇ。
手作業では時間がいくらたっても足りなさそうな作業をこなしてくれます。

外側筐体、いい感じに整ってきました。
ちなみに板を積層してこの構造ですので、なかなか重量級です。この重さはスピーカーとしてはメリットだと思います。

 

2009年11月19日作成

 

続いて、内筒を仕上げていきます。

内筒の外側はリングダクトを形成する部分になりますので、ガタガタ(凸凹)がはげしいと都合が悪いです。
ここも電気サンダ(仕上用)で整えていきますが、この作業は引き続き親父にお願いして…^^

私はトリマを使ってバッフル板の角とり作業を…

BOSCH社のPMR500を今回の自作に合わせて購入しました。
時間がないので国産メーカーの手頃な奴で妥協しようと思っておりましたら、ネットで見て悩んでいた価格にて近くのホームセンターで買えたのは助かりました(送料分は安い計算)。

しかしいいですねトリマ。
いろいろなビットがあって木材加工の強い見方です。
もっとも簡単な利用のひとつ「角をとる」作業でも、するとしないでは見た目が違ってきますね。

さて今回利用したスピーカーユニットはこちら

2008年の10月頃に購入していたDAYTON AUDIOのRS-100Sをチョイス。
10cmユニットで、以前横浜ベイサイドネットを訪れた際に店頭のバスレフで鳴っているのを聴いて購入しました。
当時も在庫限りという話で、確かにカタログ落ちしているようですね。
(※その後フルレンジとして復活しました)

作りはしっかりしていてブラック1色の渋いユニットです。

さて片チャンネル分ですが、組み上げる部材の加工がひととおり終了しました。
まぁ、まだまだリングダクトの外筐体と内筒の取り付けをどうするか等考えるところは残っておりますが、スペーサーを入れて仮置きとして組んでみます。
接着等はしてませんので横向きにはできませんが…

木製リングダクトスピーカーの試作品です。
もう少し高さがほしかったところですが、材料代の都合でサイズアップは次回に持ち越しとします。
事前の計算でも空気室の容量が不足なのですが、さてどうなりますか…

上から見たところです。
自由錐のおかげで、綺麗なリングダクトの形成は成功してますね^^

リングダクト幅は約4mmです。

いよいよ視聴です。
自分のアンプを持参できれば良かったのですが、実家にある機器につないでとりあえず音楽を聴いてみることに…
(ソースも持参してなかったので、実家にあった中島みゆきとクラシックのジュピターを)

なるほど、リングダクトスピーカーらしい音です。低音域もスピード感のある鳴り方をしますね。
やはり低域音方向の伸びは空気室の容量、リングダクト部の長さが共に不足によりもう少しほしいなと思うところですが、それらを含めて狙い通りの音という点では満足です。

さて、製作段階からスピーカーでこんな作業?と思っていたに違いない親父。
確かに大抵は箱に穴が開いているバスレフスピーカーですが、自由錐でくりぬいたり積層したりで今回の作業に不思議そうでありました。

そのリングダクトスピーカーが鳴り始めると、しばらく黙って聴いてましたが…

「良かやっかい!(良いじゃないか)」

と驚いてました^^

まだエージングも進んでいないユニットですからちょいと硬い感じがありますが、素直な鳴りっぷりがいいですね。

さて、まだ片チャンネル状態。
もう片方を早く組み上げて聴いてみたいものです。

 

2009年12月06日作成

 

さていよいよL/Rを組み上げて視聴するまで参ります。

筐体については水性ニスで今回塗ってみました。
最初にクリア系ながら若干色が入っている塗料を塗りましたら、こんな感じ…

ううむ、集成材の向きを交互にしている関係で、塗料を吸い込むところとそうでないところが当然ながら出てきます。
さらに吸い込むところはかなり色が濃くなる感じで…
ま、買ったときの塗料のイメージからはちょっと違うかなぁという感じ。

そこで、追加で透明ニスを購入して…

こちらは完全透明で重ねていきます。
先ほどの色合いが男性的とすれば、こちらは女性的に仕上がりそうです^^

また、上の写真を比べて気付かれた方もおられるかもしれませんが、ボルト用の4つの穴を透明ニス・バージョンに開けています。
これは内筒の取り付け方法を変えているからで、色濃い方は内筒の固定も接着をしようと考えてます。対してこちらは塩ビ管で作るときのようにボルト固定でいきます。
ま、試作ですからいろいろやってみたい、という次第です。

次に取り出したのは、エポキシ系のパテ。

2つの粘土状のパテを混ぜ合わせると、2時間ぐらいから硬化を始めてカチカチになるものです。この商品はフィギュアの造形に使われたりするもののようで、評判も良さそうだったのでチョイスしました。

何に使うかというと…
外筒の角となる部分の音道を少しスムーズにしたい、と思いまして。
効果はあると思いますよ。

これは透明ニス側の内筒固定のためのボルトを通しているところ。
背面からボルトを通し、スペーサーを入れてこの上に内筒が入ります。スペーサーはゴムとコルクを使ってますが、締め上げによりコルクはかなりつぶれてしまう前提にしてます。

バッフル面は最終的に接着しますから、ユニットの穴から手を入れて作業しやすいように内部は蝶ネジにしました。
この締める強さにより内筒のダクト幅を一定にするように調整します(要は傾き調整)。

そうこうして完成した姿がこれ。

色違いで申し訳ない…(笑)
さて、どちらの色合いがお好みですか?^^

リングダクト部のスペーサーに、ソフトクッションと名付けられていたゴム製商品を利用。
ソフトと書いてありますが、けっこう硬いものです(ぶよぶよではないです)。

ソフトクッションは5mm高となってましたので、リングダクト部の幅より高い。
ということで、かなり強引に押し込みました。
おかげでしっかりと固定されてます。

内筒の固定方法が異なりましたが、接着タイプ、ボルト固定タイプ、それぞれバッフル面の出面は同じぐらいになってます。ここは珍しく想定通りでしたね(笑)

さて肝心の音。
まだまだエージングが進んでいませんが、仮組みで片チャンネルだけ聴いたときより、やはり量感がぐっと増してこれはいいですね。
8cmユニットのRD-801もサイズを超えた音の厚みを感じさせますが、さらになんといいますかゆったり感がだいぶんと違います。もっと大きなスピーカーが鳴っているのでは?と思わせる音は、このリングダクト構造の特徴ですね。
今回はさらにリングダクトの直径が約24cmと大きいのもその点では効果が大きいようです。
かといって音像定位が悪いとも思いません、この点もリングダクトの良いところと思います。

このユニットはミッドバス・タイプとされているようですが、箱内にどんな特性か分かる資料はありませんでした。
ですが、いろいろと聴き比べに使っている曲でも違和感のない高域音を奏でておりましたので、お店の方が言われていたようにフルレンジとして使えるというのも納得です。

今後の課題としては、空気室容量の拡大とそれに合わせてリングダクト部の延長ですね。それにより重低音域まで再生帯域を広げたいと思います。

今回の木板積層リングダクトスピーカーは、RD-801より低域方向に少し延び量感は十分ですが、重低音部は難しい(50Hzまでは出てますけど)。

といったところで、なんとか年内に視聴まで辿り着きました。
今回の試作で得るところも多かったですし、この方向で問題ないなという音が出てきましたので満足してます。

再度の木板積層タイプの製作に合わせて、大型ボール盤が必要になります…
さてと、どう資金繰りを考えるかなぁ~(苦笑)

ひとまず、これにて完成とします。
ご覧頂きありがとうございました。

 

2009年12月14日作成

 

(追記) 試聴の様子をアップしました。

木製リングダクトスピーカーの試聴

 

2010年01月03日追記

 

(追記) 使用したユニットの仕様が分かりました。
ミッドバスとして購入し、でも詳しい店員さんからフルレンジとして問題ないとの説明+実際に試聴してそうだな、と思って使っておりますDAYTON AUDIOのRS100S-8。
販売が終了したと思っておりましたら、最近また売られているようです。
で、その標記はミッドバスではなくフルレンジ!、DAYTONもフルレンジとして売れるって判断したみたいですねぇ。

でもミッドバスとしての生い立ちは高域部の波形に現れてる?

ちょっと高域部が暴れている感じ。
あの山の突出が少し気になるかな?、でもまぁミッドバスだからといって高域部が弱いということはなさそうですね。大きな谷間も作ってないし。
とはいえ、この点はFostexのスピーカーユニット群の周波数特性はやっぱり優秀だなぁと思います。

その他詳細仕様は下記をご参照ください。

資料 : DAYTON AUDIO RS100S-8仕様(PDF)

 

2010年01月10日追記
2011年12月07日一部更新

 

昨年末に実家に帰った際、木板積層リングダクトスピーカーを長い時間鳴らすことができました。また、忙しいスケジュールの合間を縫って「ゆったり人5号」さんでありますHHさんに試聴に来て頂きました。

実家は木造1戸建で、今となってはかなり和風の家であります。
試聴したのは、座敷で畳にどろ壁、障子戸ありといった部屋。
コンクリートに囲まれたマンション等と比べると、音は抜けやすいかもしれません。

まだこれといったスピーカー台がないので、がっしりとした木製ちゃぶ台に置いて試聴です。それとスピーカー本体の足となる部分も考えないといけませんが…ま、間に合ってません(笑)

女性ボーカルの曲を聴きます。
音像がくっきりと浮かび上がる感じ。この定位感の良さは、ユニットを中心に取り囲むリングダクト構造のメリットです。ダクトからの音が出ても、音の中心はユニットの中央に変わりありません。
リングダクト部からの中域音の反響音も気になることなく、クリアに再生しています。

低音域ももう少し下方向に伸ばしたかったのですが、製作記でも記載しましたが材料代をケチったために容量不足、それを考えれば十分な低音再生を確保しています。
(※後日、周波数別の音を再生したところ50Hzまでは量感を確保していました)。

空気室容量、ダクトの長さを考えれば、本当はあと板を4枚程追加積層したいところです。これは次回製作時に取り組みます。

その他いろいろと聞き比べたところで、HHさんが
「リングダクトの効果がどの程度かな」
ということになり、それではとリングダクト部を塞いでみることに。

ティッシュをリングダクト部に詰めます^^
まぁ、これでダクトの共振はほぼ止まりますので、ダクト共振を利用するバスレフ構造から密閉箱の状態になったようなものです。

さて改めて試聴...
ううむ、かなりおとなしい音になりました。良く言えばすっきりした音、ですが物足りなさを感じます。
特に低音域では差が歴然。普通のバスレフスピーカーでもダクトを塞ぐとこのような傾向ではありますが、ここまで差があるかなぁという気もしますね。
逆にいうとリングダクト構造による増幅効果がかなり出ていた、とも言えるのかなと。

ティッシュを外して再度同じ曲を流すと、厚みのある、そして広がり感のある音へと変化します。ちなみにボーカルの定位感ではどちらも同じように良好でした。

スピーカーユニットバスレフのダクトは、なるべく離さないとダクトの共振周波数より下の周波数では打ち消し効果により急速に音圧が下がる、とされております(詳しくはバスレフスピーカーを参照ください)

リングダクトの場合、ユニットを取り囲むようにダクトを有するところは、このセオリーとも言えるようなユニットとダクトの距離を離すという点を無視しています^^
でも、密閉箱状態との聞き比べでは、メリット面は大きいと実感しましたが、デメリットという感じはなかったですねぇ。

HHさんは、事前に製作記も読まれて音の想像をされていたようです。
高域と低域がどれぐらい出ているか、興味を持って日頃聴きなれた曲をじっくりと聴かれました。
高域部については、とある曲で「シンバルの音が弱くない?」といったご指摘でありましたが、やはりミッドバスとされるユニットの特性でしょうか、ツィーターが欲しくなりますね。
低域部については、「もう少し下がね~」とのコメントながら、でも予想を超えた低音が出ているとのお声。
で、全体としては「驚いた、これいいね!」とのご評価でした。

これ以上の低音は、サイズ拡大により挑みましょう(^^)

ということで、次回「低域強化版」製作構想を一緒に練りまして、方針は見えました。
(ここでHHさんは帰って行かれました。お忙しいところ、有難うございました。)

(おまけ)

別の機会に、以前分解用にともらっていたミニコンポ付属スピーカーと聴き比べしました。廉価版モデルのようですが、ミッドバスとツィーターの2wayバスレフタイプ。
空気室容量としては、あまり大差ないと思われます。
リングダクトの場合はその空気室を取り囲むようにダクトがあるため大型化しておりますが、今回の空気室としてはそんなものでしょう。

で聴き比べると…

ミニコンポ付属スピーカーは、ダクトから漏れる中域音が反響的に聴こえ、こもった感じも。
その点、リングダクトのスリットが細く長いダクトは、中域音の漏れを低減させているようですね。
それから12cmのミッドバスと思われますが、低域音の厚みに下方向への伸び、スピード感、いずれも10cmユニットのリングダクトの方が勝っておりました。

今回は廉価版コンポのスピーカーと思われますので差が歴然でしたが、これからいろいろと聴き比べもしてみたいものです。
それに加えて、「低域強化版製作」にも^^

 

2010年01月03日作成
2011年12月05日一部更新

 

※旧ゆったりねっとの閉鎖に伴い、自作スピーカー関連話題をDIY-Soundへ移行(移設)しております。
 2009年02月に掲載しました記事(一部改編)ですのでご了承ください。

 

とある休日に大きなホームセンターに行きました。

すると、そこに見慣れないライト管なる塩ビ管が置いてありました。
ライトというだけあって、VU管よりさらに薄い。けど雨樋用ほど薄くない?

まぁ用途はよく分かりませんが、リングダクトスピーカー用の部材を探している目には興味津々です。
そこで、以前小型JSPスピーカー等にチャレンジしたときに使った6cmユニットのこれ..

LEED(国産)製のLF060C1が使われずに眠っていますので、これら塩ビ部材を使ってRD-801より一回り小さいリングダクトスピーカーにチャレンジしようというわけであります^^

ちなみにこのユニットを製作していた会社は廃業により現在ありません…

塩ビでスピーカーを作り始めると、ちょこちょこ部材を買ってしまい、けっこう部屋にあれやこれやと眠っております。
今回引っ張り出してきました。

新たに購入したのは、サイズ100のライト管とそれ用のソケットに、懐が深いVU75用のキャップ(蓋)。
(ソケットとはパイプとパイプをつなぐ部材)

こちらがライト管(100)

最初に書きますが、これ結局は使ってません。
いつか使うことあるかなぁ…
というのも、4m売りだったものでお店で4分割(1m×4本)にしてもらってまで買った代物、ちょっと悲しいぞ…(安いですけどね^^)

これは内筒の上下(前後)にはめるVU75のキャップ。
オイラがよく使う懐が浅いタイプです。

これは内筒のボディ部といいますか、本体部分となるVU75のソケット。
VUタイプでも、ソケットはそれなりに肉厚。

で、これが外筒の本体部分となるライト管100用のソケット。
VU用に比べるとかなり薄いです。

まぁこのままではダクトの隙間が空きすぎますから対策を施します。

ただソケットであるメリットが、

・切断部が既製品であるために綺麗(前後が平行)
 (腕が未熟でノコギリカットはだめだし、高速カッター等の工具もないので)
・パイプよりも構造上耐震性に優れるはず(ライト管用は微妙ですが)

の主に2点のメリットで多用しております。

デメリットとしては、ソケットの長さに左右されるというある意味設計上は本末転倒なことにもなるわけですが、まぁ趣味の域ですから問題ありますまい(笑)

 

(ここまで2009年02月08日掲載:旧ゆったりねっと)

 

塩ビ部材としては、あとVU100用の懐の深いキャップ。
ライト管用ソケットを置いているお店は若干少ないかもしれませんが、まぁVU100のパイプでも代用は可能ですね~

さていよいよ作業開始^^

ですが、ちょいと回り道をしてしまいました。
先に記載しましたが、100サイズのライト管を購入しましたが使ってません。
今にして思えば無駄だったな~と思いますが、100サイズのライト管用ソケット(外筒部)と内径部VU75ソケットとの隙間はけっこうあります。
それを少しでも縮めようとソケットにライト管を差し込んでおこうと思いましたが、まぁそれならVU100を使うのと大差ないですよね(内径は100なんですから^^)

ちなみにこのサイズ位の塩ビ管を切断するときには、ご存じの方も多いと思いますが、広告紙などを塩ビ管にぐるりと回して、紙の辺が綺麗に重なるようにしてラインを引けば、筒に平行の切断ラインを描くことができます。
(紙は厚い方が作業が楽です)

そして切断、ま、あとは腕です(笑)

で、せっかくソケットの挿入可能サイズに合わせて切断したライト管を、ソケットに差し込んだものの、どうも仕上がりが気に入らず…
しかもギリギリサイズで切断したもので、突っ込むときに叩き込んだために抜こうにも抜けない状況に…(涙)

ま、このままにしておいて、ソケットは4個買ってますから残る2個を使って作業続行です^^

いずれにしても、ダクト幅を調整する必要があります。
そこで2mm程度厚のゴムシートを購入しまして、ソケット内部に両面テープで貼ることにしました。

この筒の中にVU75のソケットが入る仕組みです。
ダクト幅としては、これでまぁいいことにしましょ!
(手軽に楽しむ、細部にこだわる、ひとそれぞれの楽しみ方で~・笑)

次は底面の加工に入ります^^

 

(ここまで2009年02月10日掲載:旧ゆったりねっと)

 
次に内筒の底面キャップ(VU75)を加工します。
手持ちの適度なホールソー(鉄工用)で中央に^^
(この後リーマで調整できれば、多少の位置ズレは直せますね)

これが空気室からリングダクト部への出口となります。
ただ、この開口面積がそのままダクト断面積というわけではありません。このキャップと外筒底面との隙間の断面積がダクト断面積となり、この開口部から円周状に広がる形状となります。

VU75ソケットは、内筒の底面になりますが、この外側に外筒が覆うようにセットされます。
きちんと止めるには、やはりボルト等でしっかり固定したいところ。
そこで外筒と固定するボルト用の穴を開けておきます。
このボルトに袋ナットを付けて、上向きに置く際の足を兼ねる予定です。そこで外側の筒はVU100のソケットですから、なるべくボルトの開口を外よりにしたいところ…

そこでVU75用キャップのギリギリで開口してしまうと、実はVUソケットとの結合時に結合用パイプを差し込みますから、ボルトが当たってしまう…ということが発生します。
その当たりは勘案して穴を開ける必要があります~

外筒底面キャップに固定用ボルト用の穴を開けて、固定します。
この際手作業ですとどうしてもズレも生じますので、内筒用キャップの開口位置で合わせるときに、それぞれにキャップの向きを分かるように印を付けておくと良いです。

こちらのキャップはラインをいっぱい描いて見苦しい状態ですが、今回はキャップの外側から15mmセンターでボルトの穴を開けています。ちょっと余裕がありすぎましたか…^^

底面との隙間調整は、M6ワッシャーを4枚で調整しました。
リングダクト部の幅と極端に変わらない方が良いと思います。
空気室からダクト部への断面積を広げるならば、隙間を広げるよりも開口を広げた方が望ましいでしょう。

 

(ここまで2009年02月11日掲載:旧ゆったりねっと)

 

次は、スピーカーの配線部分を少々…

リングダクトスピーカーの構造上、ぐるりと取り囲むダクトが存在するためにスピーカーユニットへとつなく配線入口は、よほどの加工をすれば別ですが基本的に表面キャップか底面キャップが妥当でしょう。

表面キャップはスピーカーユニットがくるスピーカーの顔ですから、まぁ普通そんなところにスピーカーの配線をもってきたりはしませんよねぇ…
ということで底面キャップにとなるのですが、リングダクト部を邪魔しないように埋め込み型の端子は見送りです。
ですが、埋め込み型でも丸いタイプのものであれば可能ですね。

で、次に外に端子部が飛び出すタイプがありますが、この底面を下に自立させようと考えており、足が長ければ問題ないですがM6の袋ナットを足にしようとしていることから、端子を取り付ける余裕はありません…

ということでRD-801同様にラインを直接キャップに入れる直結型とします^^
接続部が少ない方が音にはロスがなくて良い…ともいいますが、まぁスピーカーの外で今回は接続端子を設けるようにしますので、その点はあまり意味がないです…
RD-801はラインを長めにしてアンプまで直結可能としてます)

輝くかっこいいスピーカー端子、見た目が立派になるアイテムなんですが…

底面キャップVU100のセンターに、スピーカーラインがギリギリ通る穴を開けて、ラインを通します。
このキャップの裏面には、センターを開けるに便利な印があって助かります。
(なかには微妙にセンターを外しているマークのあるキャップ…紛らわしいので過去にミスをしました・汗)

ラインを通しただけでは、余分な穴が残りますのでそこにはホットボンドを流します。
以前使っていたRYOBIの大型グルーガンは無理な扱いで内部にホットボンドが溶けて流れ出し活動停止状態…
分解してみたら、なんとか取り除けそうなんですが、安価なものを追加購入です(…)

底面部分を組み立てるとこんな感じになります。

さて、次は表部分の加工に…
見た目も多少気になるところで、外筒ソケットにゴムシート貼りが丸見えではいけません。
そこで、RD-801でもやってましたがVU100用のキャップを大きく開口して、縁部分を残して取り付けることにします。

取り出しますは自由錐(じゆうきり)。
スピーカー自作を行うとこの道具は重宝します。

まず、センターに下穴を開けます(一応位置ズレを防ぐため)

そして自由錐の開口サイズを設定して電動ドリルで慎重に開口します。
本来はボール盤がほしいところですが、アパートには置いてません。(実家にはあるんですよね、オイラの趣味用が…)

ま、ゆっくり慎重に作業を進めると大丈夫です。
慣れるとそれほど危なくはありませんが、まぁ慣れたときが事故に遭いやすいともいいますので気は緩めずです^^

で、開口した後は…

こうなります。
良い感じですね。

そして完成した姿は、リングダクトスピーカー RD-601をご覧ください。

 

(ここまで2009年02月12日掲載:旧ゆったりねっと)

 

2009年09月21日掲載(若干の修正を行っております)

 

スピーカーを自作しておりますと、より迫力のある余裕のある音を目指す大型化、小さいスピーカーでどこまで良い音を引き出せるかという試行錯誤等、いろいろと楽しみ方があります。

アパートにおりますと、前者の大型化は限界がありまして、そもそも大きな音を出せないという条件がありますよね。
そこで大型化よりも10cm以下のユニットに興味を持つオイラですが、今回は手持ちの6cmユニットでリングダクトスピーカーを製作しました
製作過程はゆったりねっとにアップしてます。

スピーカー自作(RD-601製作記)

使いましたユニットは、LEED社のLF060C1というタイプですが、残念ながらこのメーカーは2007年夏に廃業しているそうです…
2年程前に購入してからは、2回ほど製作に挑んだものの満足な結果にはならずに眠っておりました。
ちなみに一度リングダクトタイプにも試みましたが、そのときはVU75ソケットを2段にしたことで空気室容量がこのユニットに対しては大きすぎたかな?と思って、今回は1段にしてます。

リングダクトスピーカーは、ご覧のように内筒を外筒が覆うような構造です。
バスレフスピーカーのダクトが、空気室を囲むようにリング状になっていると考えていただければよろしいかと。

内筒はVU75のソケット(パイプ同士の継ぎ手)です。
それに前後のキャップを取り付けて、表面はスピーカーユニット用に開口。背面(底面)はリングダクト部へのダクト出口を開口します。

底面は、内筒用のキャップと外筒用のキャップの間はM6ワッシャー4枚で隙間を作っており、底面を円周状に音波が広がり本体側面リングダクト部を通りスピーカーユニット周りのリング状ポートから放出される仕組みです。

塩ビパイプ、塩ビ部材だから簡単にできるというところもありますが、構造は比較的簡単です。

これを木材でやろうとすれば積層するしかないでしょう。
板を組み合わせる普通の箱形バスレフタイプに比べるとかなり大変になります(いつかはやりたいと思ってますけど^^)

底面のキャップ取り付け精度がうまくできれば、リングダクトも均等にダクト幅を作れます。
どうしても底面で内筒キャップが中央に固定されないと、円周ダクト部がうまく幅が揃わなかったり、内筒が斜めになって横からみたらユニットが微妙に傾いて見える…なんてことにもなります(–)
ずれたときはボルトの穴を少し広げるなどで調整すればOKです^^(まぁ空気が漏れるほど大きくするのはマズイですが…)

さて音ですが、リングダクト構造は太い長いダクトを目指したものです。そのため背面のストレス(スチフネス)が通常のバスレフに比べると低いのではないかと…(憶測でもありますが^^)
それによるメリットと思うのですが、なかなかキレの良い音、抜けの良い低音がいい感じです。
ただ、やっぱり全体的にサイズ的なところとユニット特性でしょうか、少々硬い音に感じます…(エージングがもう少し進むと変わるか?)
キレが良いからそう思うのかもしれませんが、長時間聴くと少し疲れるかもしれませんねぇ…

ということで、今後の改良としては上向き設置として、ユニット前にリフレクターを設置して無指向性にしてみようかな…思っているところです。

 

2009年02月15日作成
2009年09月21日更新
2011年11月25日一部更新

 

2008年前半に作成しておりました、小型のリングダクトスピーカー
中古で見つけた2.1chスピーカー用のメインスピーカーと思われるユニットを、そのリングダクトスピーカーに取り付けておりましたが…

なかなかのルックス(自画自賛・汗)
なんだけども、音は低域がかなり弱い。
スピーカーユニットのマグネットはかなり大きく、小型の密閉箱でも中高音をキレ良く鳴るための仕様だった模様(まぁ別にサブウーファがある構成ですから)

ということで、その後AURASOUNDの2インチユニットも入れてみましたが、やはり空気室の容量が不足だな…という結論に至りダンボール箱の奥に押し込まれておりました。

その製作期は、スピーカー自作(小型リングダクトスピーカー)より。

ところが、先日購入したオンキョーのダンボール筐体スピーカーキットですが…

ユニット直径は、逆ドーム振動板の有効長で約2.5cm。
エッジ部分までいれて1インチユニットといったところでしょうか。
先述のように、2インチユニットでは容量不足であれば1インチではどうか?という考えで、実はオンキョーのキットはこのリングダクトのユニット入れ替えが目的でありました^^(要はこのユニットがほしかった・笑)

早速、塩ビのメリットであります分解作業(通常、木製ならこんなことできません)。
そして、現在の開口に合わせてみると…

あらら~ぴったり!
このユニットにはダンボール箱を前後ではさむ構造で、表面リングと空気室をかねる裏側ドームがあり、ねじ込んで止めるようになっているのですが、塩ビキャップの開口にうまい具合に取り付けできました。

ということで、これまで5cmユニットからして(仮称)RD-501としておりましたが、RD-301と名前を変えます^^

裏側はこんな感じです。
本来コードを出している開口部分は、専用のゴム製のブッシングを詰め込むようになっていて、写真ではティッシュを詰め込んでいるところがダクトとなっていました。

が、リングダクトスピーカーの筐体に入れるとなるとダブル・バスレフ構造となり、これは第1空気室と第1ダクトとなります。このダクトをそのまま使うと共振周波数を下げすぎます。

また、ダクトにティッシュを詰めないで共に開けておく方法も試しましたが、どうも音が濁る感じがしてセンター側の開口のみとしました。
リングダクトスピーカーの、スピーカーからすべて対称に広がるという構造の特徴も活かせますし、やはりその恩恵があると感じます。

いずれにしても第1、第2空気室容量の比率は、1:2~1:3が適していると言われるところに、1:5以上の差がありそうなのでどうなかなぁと思いますが…

さて、第2空気室となる部分。 奥に見えている開口部から円周状に広がりリングダクト部につながるいつもの構造です。

個人的に大好きなプチプチを適度に入れます。
定在波対策と、やはり小さい空気室ということもあり吸音効果をこれで得ます。音を殺しすぎることもなく、かなり効果があります。

ざっと構造図はこんな感じです。
内筒部の部材VU50のキャップ、ソケットは信越化学工業製の部材。
外筒部に使っているVU65のキャップは三菱化学の製品です。

メーカーによって多少デザインが異なりますが、この点はお好みでよろしいかと…

ということで、今回ユニットを換えて、結果的にダブル・バスレフとなった小型リングダクトスピーカー

まず小音量時…

ううむ…やはりこのユニットからはこんなものか?という音。
低域がやはり寂しいですね。

ちなみに、オンキョーのキット時は乾電池駆動のアンプがあってそれで鳴らましたが、今回は別に通常アンプから供給しております。
正確に調べてませんが、ケーブルの接続をあちらこちらと替えながら聞き比べると、多少キットの乾電池式アンプの方が低音域をブーストしているようです。
(やっぱりねと思いますけど)

とはいえ、リングダクトの筐体に入れた方が音はしっかりしています。

で、次第に音量を上げますと…

おおっ、出てきますね。

低音は小音量時では、人間の耳は感じにくいので、トーンコントロールで低域を持ち上げて聴く、ということになるのですが、どうもその差以上に低音の出方に差があるように感じるのは気のせいでしょうか…

この1インチユニットに対しては空気室容量が大き過ぎて、小さいスピーカーユニットからの振動を吸収・和らげてダクト部の共振効果が得られにくいのか?
それとも、ダブル・バスレフ構造により、その傾向が強まっているのか?

まぁその両方かもしれませんね。
エージングが進むとまた違うかもしれません。

されどボリュームを上げてやると、ぐぐっと低音が増して侮れない音に…

もちろん8cmユニットと比べると、低域の伸びも量感も違いますが、このRD-501からRD-301となったこのリングダクトサイズで思考錯誤した中では最高の音です。

また、リングダクトスピーカーの特徴ですが、実際サイズより大きなスピーカーユニットが鳴っているように感じる音質は、このサイズでも健在です。
(だからといって音像が悪くなるわけではないです)

ということで、RD-301はモニター横に常設となりました^^

 

以降2011年08月20日追記

しばらくそのままだったRD-301ですが、ふとそういえばと思い出したことをやってみることにしました。
それは、オンキョーユニットの裏側にある小さな透明ドーム部によりダブル・バスレフ状態になっていることが、良いのか悪いのかを探ってみようということで…

現状はこのように透明のドーム部がユニット裏側についています。表の白いユニット周りのリング部とネジによりバッフル面を締め付けることが出来ます。
この取り付けに便利な機構はそのままに、ドーム部をなくしてダブル・バスレフとしての動作をなくしてしまおう、というわけです。
ま、簡単にいいますと、透明ドーム部を切ってしまおうということで^^

スピーカーケーブルはユニット端子に半田付けしてましたので、そこは手を付けたくありません。
なので慎重に塩ビ用ノコギリでゴリゴリと切っていきまして…ドーナツ状となったところをニッパで切り込んでいって分離、なんとか成功^^

ネジをまわす部分を残してますから、ユニットの締め付け固定にも問題ありません。
その部分が残ってますが、ダブル・バスレフの動作はもうしませんね。

試聴してみます。
実は加工をしたのは片チャンネルのみ、よってダブル・バスレフ状態とそうでない状態とを聴き比べることができます。

こういうとき自作スピーカー切替器が役立ちますね^^

で、肝心の音の違いですが…

加工する前のダブル・バスレフ状態の方がいいです(–)

低音が若干伸びてます。
また低音部がややスッキリと聞こえます。

その違いはそう大きくはないですが…
いずれも低域音は100Hzぐらいまで出てます、まぁサイズを考えればそれなりに出てますね。

結論としては、この透明ドーム部はそのままでいいかな~というところですね。

 

2009年06月21日作成
2009年09月21日一部加筆
2011年08月20日一部加筆
2011年11月20日一部更新

 

塩ビ部材を用いたリングダクトスピーカー「RD-801」は、塩ビ部材の規定サイズをうまく使えるタイプです。

まずその構成はこのようになります。

VU100とVU125の部材を組み合わせることで、程度なリングダクト幅を確保することができます。
これが他のサイズで組み合わせようとするとけっこう難しい…

VU125のキャップを大きく開口する作業は気を使いますが、それ以外は比較的容易な作業で出来上がりますので、興味がある方はこのタイプでリングダクトスピーカーを作成されることをお奨めします^^

では、各部材の加工を進めます。

まずVU125の開港作業、この作業が一番怪我に注意となります。
自由錐を使いましたが、自分は規定外利用をして開口作業をしていますので、その方法をお奨めできません。
皆様には大型サイズの自由錐を用いていただくか、この部分は音への影響はほぼないでしょうから、何か違う方法で外見を調整されても良いかと思います。
(例えば木板にサイズを合わせて開口し、表面の見た目を整えるみたいな)

一応私のとった方法をご紹介しますと…
手持ちの自由錐は片刃タイプで、刃と反対側部分に抜け止めの黒い輪ゴムが付いています。
これにより最大開口サイズが直径120mm上限となるのですが、VU125のキャップに開けたいサイズは約130mm。

半径にしてあと5mmほど伸ばす必要があります。
そこで、黒い締め付け部に当たりストッパーとなる黒い輪ゴムを外して開口作業にあたった…という次第で、とても危険なのでお勧めできません(苦笑)

むろん、回転ドリルに取り付けて使用するため、刃の部分が遠心力で飛んでいく可能性が増す行為であります。
実際、自由錐はとても危険で回転時に刃の部分が飛んで器物を破損したという話もあります。人に当たっていれば大怪我の可能性もありますから、重々慎重な作業が求められますよ。
この作業ではありませんが、私も自由錐で3針縫う怪我をしたこともあります。自由錐とはこんなものかと、やはり慣れた頃は特に気の緩みもあって危険性が増すことを実感しました。

ま、その危険性を重々承知した上での作業、自己責任です(^^;)
いつもよりプライヤーで強く締め込み、途中途中で状況を確認して慎重に開口作業を行った次第です。

それと本作業は安定した状況下で自由錐を使う必要がありますから、VU125キャップ側の固定も問題になります。
私はベランダで作業したのですが、ベランダのコンクリート壁に靴を履いて、両足でVU125キャップを壁に押し付けるように力を加えて固定し、少々窮屈な体制ながら電動ドリルで開口しました。
傍目から見たら、うんこ座りをして壁に向かってうつむって何かしている…
とても危ない人ですね(笑)

やはりボール盤があるとこの点はいいですねぇ。

さて次の作業です。
リングダクトスピーカーは、内筒と外筒があります。底面(ユニットとは反対面)で内筒と外筒の位置を固定するためにボルトで締め付けます。
今回は3点をボルトで締め付けることにました。

ただ、3点の穴を開ける場所決めがけっこう難しい…
ということで、手元にあったクリアフォルダを活用して位置決めをすることにしました。

久しぶりに分度器を使いました(^^)
中央付近を適当に定めて1本のラインを引き、それに対して120度の角度で2本の交わるラインを引きます。
ラインの交わる点から均等に目盛りをいれます。
この均等に付けたマークのちょうど中央になるようにVU125キャップに重ねることで、キャップの中心とボルト用の開口箇所もちょうどよく示されるという具合です。

クリアフォルダには切れ目とか入れてませんから、クリアフォルダの上からペン等でマーキングできません。
そこで位置を合わせて、ボルト穴開口位置にはポンチでクリアフォルダもろともVU125に打刻します(要は印と付けられれば良い)

そしてM8のボルトを使用しますので、8.5mmのドリル刃で開口です。

後に内筒にも同様にボルト穴の開口作業を行いますが、クリアフォルダに打刻後が残ってますから、その場所をVU100のキャップに開ければうまくVU125キャップとうまく重なることなります。

テンプレート的に作っておけば便利な方法ですね。

うまく開口できました。
(ちなみにVU100キャップの中央の開口は自由錐によるもの)

これまでは同じM8のボルトであっても、スピーカーを立てて置けるようにとスピーカーラインを直出し、ボルトを内側から外側へと出し袋ナットを利用して足としてましたが、今回はナベ形状のボルトとしました。
これはやはりリスナーに向けて置いた方が音が良いことと、本製作品はお世話になっている方のお家へと奉公に出るのですが、立てて置くことはないだろうとの事前情報とスピーカー端子があった方が良いというお声でしたので考慮しました。

さて次は内筒です。
内筒は、上のイメージ図でも分かるように「VU100キャップ+VU100ソケット+VU100ソケット+VU100キャップ」という構成。
この「+」の部分には、VU100のパイプを適度な長さに切って挿入して繋げることになります。
空気室内の不要な反響音や定在波を抑制するために、VU100パイプの内側には適度にカットしたパンチカーペットを両面テープで貼り付けます。福が来るようにと見えない部分ですが「黄色」をチョイスです(^^)

底部のキャップに差し込んだところです。
3点のボルトがギリギリ収まってます、我ながら絶妙なボルト位置だなぁ…などと(笑)

次はソケット部です。
写真はすでにVU100のパイプを使って2段結合したところです。
このソケットの外側はリングダクト部の内壁面になるのですが、過去の経験からここには起毛カッティングシート(ベロアカッティングシートというのですかね?)を貼る方が音が引き締まります。

さてこのカッティングシートですが、これまでは貼る前にサイズを合わせてカットし、それをうまく貼るようにと注力していました。
カッティングシートの裏面にはカットしやすいようにと目安のラインも入っていることで、ついつい先にカットして貼るという思考になったのですが、この方法がけっこう難しいのです。
内筒を巻くように貼りますが、どうしても微妙にズレが生じてしまいます。貼りながら円筒を巻くように進む過程で上か下に余白が広がっていくことに…
それを強引に力で修正しようとすると皺がよってしまうので、またビリビリと剥いでやり直してまたビリビリと剥いでと何度かやって、最後はもうこの程度の皺ならいいやとあきらめるのです…

そこで今回は方法を変えました。

ある程度余裕がある幅でカットして、先に無理なく貼ります。
多少角度がズレていても余裕がありますから、貼るところに無理な力を加えることなく綺麗に巻くことができます。
そしてはみ出たところを丁寧にカットする…

楽です!

もっと早く気付くべきだったな~^^

これなら問題ないですね。
カッターの切れ味が良ければもっと仕上がりも綺麗になるはずです。
円形ですから、接地した部分にマットを敷いて回しながらカッターをうまくマットに押し当ててカッティングシートを切ります。少々コツがいりますが、ゆっくりやれば問題ないですし慣れてもきそうです。

底部と合体しました、差し込むだけですけどね(笑)
写真撮り忘れましたが、内部には適度にエアキャップ(粒が大きい)のを吸音材として入れています。効果あります^^

内筒のVP100キャップもユニットに合わせて開口して、ユニットを取り付けました。
今回使用したのは、

PARC Audio DCU-F101W ウッドコーン8cmフルレンジ

です。
この塩ビ構成では以前に、DIY-AUDIO SA/F80AMG(同じく8cmフルレンジ)をつかって製作して良好なサウンドを出してくれました。
実は、以前にSA/F80AMGを取り付けていた別筐体を使ってこのDCU-F101Wを取り付けたところ、ややボンつく音の傾向でした。そこで今回はDCU-F101W対策として内筒底面の開口サイズを直径1cmほど広げました。
結果はボンつく音は抑えられ、低音は量感がありつつもすっきりした印象になりました。
このあたりはユニットの性格も出てますね。
このスピーカーの奉公先の主に聴き比べてもらいましたが、同じ感想でした。

ちなみに、ユニットを取り付けた内筒キャップ(三菱樹脂製でしょう)の側面と外筒パイプとの間にはちょうど5mmの幅ができます(ソケット部分ではもう少し狭くなります)
そこで、写真に見えてますがホームセンターに売っているウレタン樹脂製クッション剤(粘着テープ付)の5mmタイプがちょうど良くはまり都合がいいです。

ちょいとレトロなオーディオ機器構成ですが…よく鳴りましたよ^^
(自分の部屋が狭くガラクタだらけでしたので、予備機を出して急遽リビングで聴いたときの環境・汗)

見た目を少し整えるために、私の製作では恒例となってますが外筒にもカーペット材を巻いてます。
外筒との間に両面テープ、そしてカーペット材が巻かれて輪になりつながる部分を瞬間接着剤により接着。

ひとときこのスピーカーの音を聴いてもらって、「いいね!」というお声とともにスピーカーの奉公先の主が持って帰られました^^
今はそのご子息の手元に移っている(一時的に奪われた?^^)とのことでしたが…活躍しているようでなによりです^^

リングダクトスピーカーについては、こちらを参照ください。

リングダクトスピーカーとは

 

2011年03月21日作成
2011年11月19日一部更新

 

リングダクトスピーカーは、

このように、スピーカーユニットの周りにぐるりとリング状にダクトを持つことから、そのように呼ぶようにしました。
見た目まんまですね。

この形状になるまでには、いろいろと試行錯誤がありました。
ある時、私は思いました。
バックロードホーン型では、低音を稼ぐには構造上結構大きくなることから、小型のサイズで製作するとすれば、バスレフ型になるな…

低音を伸ばして、量感を稼ぐには?

バスレフ型で低域を左右するのは、ダクトの共振。ダクトが大きな役割を担っております。

一般的にはこんな感じでしょう。

ヘルムホルツの法則により、空気室の容量とダクトの断面積と長さにより、共振周波数が決まります。

空気室が同じ容量と仮定した場合、ダクトが長くなる、またはダクトの断面積が狭くなると低域方向に音が伸びますが、量感が減ってしまう方向に。
逆に、ダクトを短くする、またはダクトの断面積が広くなると、量感が増し、またスピード感もより出ると思うのですが、低域方向へ伸びなくなります。

では、ダクトを長く、断面積も広くできれば、低域に伸ばしつつ量感を確保できるのではないか?という単純な考えがベースにありました。
ですが…

このイメージのスピーカー筺体では、ダクトを太く、長くしようにも限界があります。
ダクトをある程度太くすることはできても、それに見合うだけの長さがどうしてもとれません(後方筺体に当たるため)。

そこで、ダクトの問題を解決しようとすれば…

こんな感じで、ダクト部分を空気室の外に出してしまうと可能になります。
(上のスピーカーイメージとは空気室容量が合ってませんが、イメージとして見てください^^)

でもこれでは、あまりに格好が悪すぎます。設置するにもダクト部分で場所を取りますしね…

そこで、

後ろに伸びたダクト部分を、空気室を囲むように前方へ折り曲げてリング状としました。これがリングダクト方式を考えた経緯です。

これにより、新たにメリットがいくつか考えられます。

まず、ダクトへの入口(空気室の出口)がユニット反対面中央に開口しますが、この部分から円周状にダクトが広がります。
ここにダクト断面積の変化が生まれており、低域増強の面ではプラスに作用しているように思います。
なおイメージではユニット反対面は平らですが、ここをカーブ状の形状にする、または幅の厚みを変化させることでダクト断面積の変化を緩やかにするなどのアレンジは可能で、将来的にはもう少し追い込んでみたいと思う部分です。

次に、ダクトが太いと中高域の音がそこから漏れる割合が大きい懸念があります。
しかし、リングダクトとすることで、断面積が同じとしてもリング状にすることで幅がかなり狭くなります。これにより、中高域部分の低減効果を高めることが可能となります。

それから、次は半分デメリットでもありますが、スピーカーユニットに対して均等に囲むようにリングダクトが配置されます。正面からみますと同軸スピーカー的となり、音像の定位感は優れるでしょう。ユニットをコアキシャルタイプ(同軸2way:ツィーター+フルレンジ等)にすれば、それこそ高音から低音をカバーする同軸スピーカーという状況となります。
デメリットというのは、バスレフ型の作用として、ダクトの最低共振周波数を下回る低域部分では、ユニットの音をダクトが打ち消す方向となるために、ユニットとダクトは離して配置した方が良いとされます。
この点はダクトの最低共振周波数の設定によりますし、実際けっこう低域も再生していますからそれほど問題には感じておりません。

この中央配置、リング状のダクトというアイデアでもいけると思った背景には、当時、素晴らしい低音を再生すると評判が広がりつつあったJSP方式の構造もありました(もちろん今でも高い評価です)。
センターにスピーカーユニット、それを囲むように均等に配置された4本のダクトという構造です。そこから軽やかな重低音を再生されることから、ユニットに対して均等なリング状でも可能性は高いのではないかと考えられたのも大きいですね。

立体図を作成してみました。
より構造のイメージが分かってもらえるかと^^

ご紹介してきましたように、ユニットに対して対照配置となるリングダクトです。
これのメリットをもう少し考えてみますと…

ユニット背面から均等に広がる音の振動が、空気室出口(ダクト入口)に届き、そこから円周状に均等に広がり、そして均等に共振増幅されてリングダクトより放出されます。

イメージしますと、ユニットから均等に輪のように広がる音の振動を、このリングダクトは効率良くダクトに導いて、そして増幅を行えるように思いませんか?
また、ユニット裏面からの放出された振動は、リングダクトに均等に導かれていくことで乱れが少なく、バランスが良いと評価頂いた音質に貢献しているように感じます。

この点は構造的メリットではないかなと思います^^
まぁバスレフ型の動作原理からすると、なんだか違う話かもしれませんけどね。

 

リングダクトスピーカー「ダクト共振周波数の計算」(試作計算・参考)

 

リングダクトスピーカーの構造については、特許を出願しております。ただし、個人利用目的に関しましては自由に参考にして頂ければと存じます(使って頂けると嬉しいです)。
(追伸)リングダクトスピーカー構造の出願しておりました特許は、無事取得できました(関係者各位、有難うございました)。

 

2008年11月19日作成
2008年12月15日追記
2011年10月21日一部更新
2014年12月03日追記