リングダクトの特徴を考えてみる

バスレフ型スピーカーは、スピーカーユニットを取り付けた箱に穴があるタイプ。

バスレフ型スピーカー

スピーカーの裏側の振動を利用して低域を増強する仕組みで、現在の主流です。
穴=ダクトは、ほとんどが丸いパイプか、角型をしています。
このダクトの太さや長さはいろいろありますね。

さて、口からそのまま息を出すのは気にもなりませんが、ストローを咥えて同じ量の域を吐き出すには時間がかかります。
さらには、同じストローの太さでも、短いのと長いのでも違ってきます。

管摩擦抵抗というもので、スピーカーのダクトも同様に抵抗が発生しています。
この抵抗具合と箱内空気のバネ効果をうまく利用して共振域をコントロールしようとするのがバスレフ型スピーカー。

 

 

そして、以前「リングダクトとは」の説明ページに鈴木様より見識あるコメントを頂いてますが、ダクトへ壁面部とダクト中央部では抵抗が異なります。
ダクト壁面部の摩擦抵抗を少しでも低減しようと、ダクト面にディンプル加工を施すスピーカーもあるとのこと。

管摩擦抵抗はダクト壁面部に近いほど抵抗力が大きく作用し中央部に行くほど作用が小さくなるイメージです(単純ではない部分もありますけど)。
それの合算されたものがそのダクトの抵抗になります。

となれば、バスレフの共振を計算する際は概ね断面積と長さから導きますが、ダクト断面積に対するダクト壁面の割合の影響も出てきますよね。

 

 

極端な例にしてますが、このように太いダクトなら摩擦抵抗の影響は全体からすれば軽微に思えます。

逆に細くなれば…

 

 

摩擦抵抗の影響が大きく出てきそうです…です。

リングダクトスピーカーに至っては、スリット状のダクトがぐるりと輪状(ドーナツみたいに)になっています。

 

 

良くある丸パイプのダクトを考えれば、リングダクトの内側ダクト壁面は存在しません。
これだけでおおよそ2倍のダクト壁面の面積があるといえますから、リングダクトはダクト断面積に対するダクト壁面の割合はぐんと高いですよね。
通常の丸パイプや角型のダクトに比べると摩擦抵抗は大きい…これは間違いないでしょう。

ちなみに、CHR70を装着した木板積層リングダクト…

 

 

この場合の計算シミュレートでは、

 

 

共振周波数が57Hz程度となっています。
底面(背面)のホーン状の作用とか、上記のダクト壁面の割合などは未考慮ですので、概算の概算という感じですけども…

で、実際に簡易的に測定してみますと、

 

 

と100Hzぐらいから降下する特性。

音響対策のない室内で、回りもけっこう音がしている中での測定ですから目安程度ですよ。

さらにそれぞれ特定周波数を再生させて、その周波数ごとに測定してみると…

100Hz → 87.2dB
80Hz → 81.0dB
63Hz → 74.7dB
50Hz → 71.1dB
40Hz → 60.5dB
31.5Hz → 51.2dB
25Hz → 40dB

という感じ。
概ね上のグラフと似たような傾向は出てますね、実効周波数としてみれば低域はやや厳しい感じに見えますか…

ただ、なだらかながらも低域はけっこう下まで出てますので、実際に聞いてみるとなかなかどうしての聴き応え、この辺りはグラフからは見えない特徴でしょうか。
加えて、スピード感のある低域の出方は、リングダクトの特徴とも言えると思います。

これからみると、この場合のリングダクトの共振周波数は…もう少し下にあるのかな?という気はしますね、どうでしょう…

さて、もう少しスリット幅を調整してみましょうか、多少広げてみても面白そうです(CHR70版)。

 

(※写真をクリックすると大きく表示されます)

 

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