スピーカーエンクロージャ:共鳴管型(音響管型)スピーカー

共鳴管型スピーカーは、その名のとおり共鳴を利用したスピーカーです。
共鳴をイメージしやすいのはパイプオルガンではないでしょうか。パイプオルガンは共鳴させる音域を長さで変えてホールに響かせるわけですが、まさにあの理論をスピーカーに持ち込んだタイプです。

共鳴管スピーカーには、大きく分けて2種類あると思います(個人的に)。

ひとつは、スピーカーユニットの前面は表側に出し、裏側に共鳴管を設置するタイプ。
もうひとつは、スピーカーユニットの前面または後面両方を共鳴管の中に放出するタイプです。

共鳴管(例1)は、音楽等を楽しむ際のメインスピーカーとして使えますが、共鳴管(例2)はサブウーファーのような低音増強専用として使われる場合が主でしょう。
共鳴管(例3)は、アコースティックウェーブ・ガイド型とも呼ばれるタイプで、スピーカーユニット前後の長さの違うパイプで異なる共鳴(共振)を狙うものです。ボーズ(BOSE)社の通称キャノンがこのタイプと思います(下記に参考情報有)。

共鳴管方式は、共鳴周波数を求める計算が簡単です^^

周波数=音速÷(4×共鳴管の長さ(m))

で求められます。
※これは共鳴管を片方閉じた場合、両方閉じた場合は 周波数=音速÷(8×共鳴管の長さ(m))。

音速が340m/秒として、共鳴管の長さを1mとした場合は、

340÷(4×1)=85Hz

となります。

スピーカー背面に長い音道を持つイメージでは、バックロードホーン型と似ているのですが、このように動作原理が違う共鳴管型となります。

音速の1/4の長さで共鳴することから効率が良いといえば良いですね。
4mの管を作れば…約20hzまで出せる、ということになります。
ただし、共鳴は管を曲げたり折り返したりすれば効果が薄れます。折り返しは1回までが推奨、2回がやっとでしょうか。3回ではかなり効果が薄れると思います。

ユニット取り付け位置は、基本は管の端から1/3のところとされています。

また、開口部については、断面積の40%が良いとされてます。これは好ましくないとされる奇数倍周波数音の低減効果、共振周波数を下げる効果、があるとされます。

また、この共鳴管方式の変化型として共鳴効果は薄れるのですが、音道を何回も折り曲げる音響迷路(ラビリンス)型と呼ばれるタイプがあります。
音響迷路(ラビリンス)型は、長い音道を通ることで中高音域の音を減衰させて、低音域を残して取り出そうとする方式のようです。

共鳴管型の音質傾向は、共鳴管内の空気抵抗はバスレフ型よりかなり小さいために、ユニットはのびのびと動作ができます。
共鳴管(例1)タイプであれば、重低音の量感を得るのは難しいかもしれませんが、そこそこの低域であれば量感も稼げます。内部構造もシンプルですから手がけやすいタイプのひとつと思います。塩ビ管であればより簡単です^^
共鳴管(例2)タイプであれば、サブウーファーとして別アンプでパワーを入れてやると、重低音を導くことができます。

まぁ難点としては、共振周波数を得る長さは1/4で済むとはいえ共鳴させる管の長さ必要ですから、それなりの大きさになるというところでしょうか。

(※参考1)
BOSE社のサブウーファー AWCS-II(写真はメーカーサイトより)

 

2009年05月06日作成
2009年05月31日一部修正加筆
2009年07月21日一部画像修正(ユニット位置説明の誤りについてご指摘があり修正しました。ご連絡に感謝です)

 

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